九州中央部に位置する阿蘇山は、2021年10月20日の噴火に伴い、2022年2月現在「噴火警戒レベル2」の状態が続いています。
そういえば、2021年の噴火はいつぶりだったんだろ?
2021年10月に起きた阿蘇山噴火は、2020年5月から約1年半ぶりの噴火でした。
いつぶりかの噴石もあったんだよね?
2021年の噴火では、火砕流や噴石が2016年の噴火以来5年ぶりに観測されました。
今後、阿蘇山がこれまでとは比べ物にならないくらい噴火してしまったら、どんな被害が出るのか大変心配です。
2021年はいつぶりの噴火だったのか、阿蘇山の歴史を振り返ると共に、大噴火時はどのくらいの被害が予想されているのかもご紹介致します。
阿蘇山の噴火はいつぶり?!5年ぶりの噴石と火砕流確認
2021年10月に阿蘇山が噴火した時は、もの凄い噴煙でしたね。
こんなに大きな噴火はいつぶりだったんだろ?
噴石や火砕流も確認されたそうだけど、いつぶり?
阿蘇山の噴火は2020年5月以来約1年ぶり、噴石や火砕流は2016年以来5年ぶりに観測されました。
- 土砂移動現象のひとつ
- 高熱の岩石や破片が斜面を流れる
- 時速100キロを越えることもあり数百度の超高温
噴石が空から降ってくるのも大変怖いですが、火砕流と言われるマグマも恐ろしいです。
それではいつぶりの噴火だったのか、阿蘇山の近年における噴火状況をまとめました。
どの噴火活動がどのくらいの規模だったのか、細かくご紹介していきます。
2016〜2021年での4度にわたる阿蘇山噴火について解説!
2016〜2021年の間に、阿蘇山の噴火は大きく分けて4回ありました。
一言に「噴火」と言っても、どの程度の威力だったのか、いまいち想像がつきませんよね。
私たちの様な火山活動について詳しくない者でも、3つのポイントを見るだけで噴火の規模を比べる事が出来ます。
- 噴火した時に上がる噴煙の高さ
- 噴石の有無、飛距離
- 火砕流の有無、流れ下る距離
阿蘇山の2016〜2021年における噴火内容について、これら3つのポイントを比べてみました。
噴煙、噴石、火砕流の量と共に、阿蘇山の「噴火警戒レベル」が噴火時どのレベルなのかも、噴火状況を知る重要なポイント。
そのため、噴火警戒レベルも合わせて比較していきます。
阿蘇山の噴火期間 | 噴煙 | 噴石 | 火砕流 | 噴火警戒レベル |
---|---|---|---|---|
2021年10月20日 | 火口縁上 3500m | 南 0.9km | 火口〜北 1.6km | レベル3 |
2019年10月7日〜 2020年5月20日 | 火口縁上 1700m | なし | なし | レベル2 |
2019年4月16日〜 2019年7月26日 | 火口縁上 2000m | なし | なし | レベル2 |
2016年2月〜 2016年10月8日 | 海抜高度 11,000m | 南東 1.2km | 火口周辺 (範囲不明) | レベル3 |
噴煙の高さに関する表記は「火口縁上」と「海抜高度」の2種類があるようです。
①火口縁上
火口から上空の最高到達点を示す
②海抜高度
平均海水面からの高さを示す
または標高とも言う
参考 気象庁
それぞれの噴火期間を噴煙や噴石で比べてみると、2016年10月に起きた噴火が、かなり大規模だった事が伺えますね!
2016年の噴火については、のちほど詳しく説明していきます!
「2016年の阿蘇山噴火は大規模!噴煙は海抜高度11,000m」をご覧下さい。
阿蘇山の噴火は噴火警戒レベルも参考にしよう!
各地で火山活動を行う山が噴火した際は、ニュースで「噴火警戒レベル」という言葉をよく耳にしますね。
阿蘇山が噴火した際、噴石や噴煙、火砕流や降灰などから気象庁が定める「噴火警戒レベル」というものがあります。
引用 気象庁
リアルタイムで気象庁より「火山活動の状況(阿蘇山)」が配信されているので、常に要チェックです!
2021年の噴火時は「噴火警戒レベル3」でしたが、2022年2月現在は「噴火警戒レベル2」へ引き下がっていました。
2016年、2021年阿蘇山噴火の際はレベルが3に上がったことからも、当時の噴火は大きかったことが伺えます。
2016年の阿蘇山噴火は大規模!噴煙は海抜高度11,000m
2021年の噴火よりも大規模だった2016年の阿蘇山噴火。
どのくらいの規模だったのか、下記にまとめました!
2016年10月の阿蘇山噴火
噴煙 | 海抜高度11,000m |
噴石 | 火口から北東4km〜20km |
火砕流 | 火口周辺(範囲不明) 降灰 香川県、岡山県、愛媛県で確認 |
いつぶりの爆発的噴火だったの?
2016年10月の阿蘇山噴火はマグマが水と接触して起こる「マグマ水蒸気噴火」で、1980年1月26日以来36年ぶりの爆発的噴火でした。
噴石は火口から北東へ20kmも離れた「大分県竹田市」で観測されています。
20km遠くまで噴石が飛ぶなんて驚き!
ところで噴煙は海抜高度11,000mとあるけど、火口縁上はどのくらいなの?
阿蘇山の中岳火口は標高1,506m。
海抜高度11,000mから標高分1,506mを差し引くと、火口縁上の噴煙は9,000m越えと予想します。
2019年から2021年までの噴煙が2,000m〜3,000mですから、2016年の阿蘇山噴火威力は3〜4倍だった事が伺えますね…!
噴煙や噴石と同じくらい気になるのが「降灰」。
なんと、香川県や岡山県といった四国、中国地方まで降灰が到達しているので、凄い威力です。
阿蘇地方は農作物や牧草地帯が広がるのどかな地域。
灰の量としては被害が出るほどではなかったとのことで、本当に良かったです。
阿蘇山噴火の歴史を紹介!30万年以上前から大規模噴火
現在も火山活動を続ける熊本県阿蘇地方に位置する阿蘇山、その歴史はなんと!!
30万年以上前にさかのぼります。
阿蘇山は大規模な4度の噴火によって形成!
阿蘇山の歴史について、簡単にポイントをまとめてみました!
- 約30万年〜9万年前、4回の大規模な噴火による火砕流で形成
- 標高1592m 東西17km、南北25kmのカルデラ複成火山
- 東西に配列する中央火口丘の内、主に中岳が噴火を繰り返す
参考 気象庁
阿蘇山を形成した4回の大規模な噴火の内、9万年前の噴火が最も大規模で、火砕流は九州中央部を飲み込み、降灰は北海道まで到達しました。
ちなみに日本列島史上最大の噴火だったとされているのは、1991年に「平成大噴火」を起こした雲仙普賢岳ではありません。
1707年に江戸へ壊滅的な被害を与えた富士山でもありません。
9万年前に起きた阿蘇山噴火が、日本列島で最も大きな噴火だったと言われています。
富士山噴火と比べて1,000倍以上のエネルギーだったんだって!
数百度の火砕流、いわゆるマグマが、なんと海を越え、瀬戸内海を埋め尽くしました…!
瀬戸内海まで火砕流が来てしまうなんて、当時の九州はどうなっていたのでしょうか…。
そして火砕流が流れ出る間もなく、大量の火山灰が日本中に降り注ぎ、日本は灰によって埋まってしまったのです。
富士山噴火よりも1,000倍以上の威力で噴火した阿蘇山。
当時私たちの祖先となる人々はすでに日本で生活していたのか気になり、調べてみました。
日本列島における人類の痕跡は、どうやら10万年ほど前から確認されています。
当時の日本人祖先はかなりの被害を受けたに違いない…!
阿蘇山の歴史上大噴火として残る【湯の谷大変】
阿蘇山噴火の歴史上、語り継がれているのが、江戸時代に起きた「湯の谷大変」と呼ばれる噴火です。
- 1816年(文化13年) 中央火口丘群西部で噴火
- マグマ水蒸気噴火
- 「大きな土砂が噴出する」「湯小屋12軒被害」などが古文書に記載
参考 阿蘇ぺディア
当時のような噴火が、今後阿蘇山で起こったとしたら、現代ではどのぐらいの被害になるのでしょうか…。
阿蘇山大噴火に関する被害や影響について、次の見出しで解説していきます。
阿蘇山大噴火での被害予想や影響などはどのくらい⁈
これから阿蘇山が大噴火する可能性はあるの?
いざ大噴火してしまったら、被害や影響はどのくらいあるんだろう?
富士山と同じくらい、阿蘇山の噴火被害、とても心配ですよね!
専門家の間では、阿蘇山が大噴火する可能性は大いにあり、噴火した際の被害や影響に関する著書も発表されています。
巽好幸さんによる阿蘇山噴火の予想被害は甚大!
巽好幸さんはマグマ学の専門家。
巽好幸さんが発表されている「富士山大噴火と阿蘇山大爆発」の内容から一部ご紹介していきます!
阿蘇山の大噴火が今後100年間で起こる確率は1%弱という予想ですが、その1%がいつなのか、誰にも分かりません。
万一噴火するとどのような規模で、どれくらいの被害があるのか、詳しく見ていきましょう。
- イタリア南部のベズビオ火山で起こった大噴火にちなむ
- きのこ雲状の噴火雲と共に多量の石や灰を噴出する
阿蘇山の大噴火によって、周辺は壊滅的な状況に…。
九州中部では数メートルもの軽石が降り積もり、流れ出る火砕流は飲み込んだ全てのものを焼き尽くしてしまいます。
阿蘇山の大噴火による火砕流は、発生後2時間以内に約700万人の人々が暮らす領域を覆い尽くしてしまうという恐ろしさ。
灰が上空を漂うため、昼間でも薄暗い日本。
火砕流によって九州が焼き尽くされた後は、火山灰が日本全土を襲います。
中国、四国一帯では大粒の火山灰が降り注ぎ、噴火開始の翌日には近畿地方へ達すると予想されています。
阿蘇山大噴火で生活全てを破壊する火山灰
実はこの「火山灰」がとても厄介。
全てのインフラ、生活環境を破壊する恐ろしさを秘めています。
阿蘇山大噴火の火山灰によって
予想される影響や被害
- 火山灰の厚さは、大阪約50cm、首都圏約20cm、青森約10cmほど積もるとされている
- 木造家屋の半数近くは倒壊
(降雨時には火山灰の重量は約1.5倍) - 電力の9割以上を占める火力発電は、フィルターが火山灰で目詰まりし、発電は不可能
- 水道は目詰まりや沈殿池が機能しなくなり給水不能
- 空港や道路は5cm以上の降灰でスリップしてしまう為走行不能
- 電車は降灰でレールが埋まり走行不能
- 電力が絶たれ信号などの電子機器は全て作動しない
主成分がガラスで出来ている火山灰は「絶縁体」と化し、電力元を復活できても電線が機能せず、電気を使う事が出来ません。
降灰によって北海道東部と沖縄を除く全国のライフラインは完全に停止しますが、除灰活動自体も大変困難となります。
- 火砕流と降灰による被害1000万人程度
- 生活不能に陥る人々1億人以上
2022年、日本人口は約1億2千万人なので、ほぼ全国の方々が阿蘇山噴火の被害に遭うのです。
遠くに住んでいるから大丈夫!
なんて言ってられない‼︎
トンガのように噴火で海底ケーブルも破損してしまったら、海外とも遮断され、日本は正しく孤立状態に陥ってしまうのです…!
灰で水も汚染されちゃいそう
そうなんです。火山灰で水道水が使えなくなることは当たり前と考え、ペットボトルのお水もしっかりと貯蓄しておきたいですね。
まとめ
- 2021年10月の阿蘇山噴火は1年ぶりの噴火で、噴石や火砕流の観測は5年ぶり
- 噴火した時に上がる噴煙の高さや噴石の有無と飛距離、火砕流の有無と流れ下る距離で、噴火規模を知る事が出来る
- 阿蘇山の噴火警戒レベルは気象庁HPで随時更新されている
- 阿蘇山噴火の歴史は30万年以上前からあり、9万年前の噴火が最も大規模。火砕流は九州中央部を飲み込み、降灰は北海道まで到達した
- 専門家によると、今後阿蘇山が大噴火する可能性は大いにある
- 阿蘇山が大噴火したら、火砕流は九州を飲み込み火山灰は日本全国に降り注ぎ、被害に遭うのは1億人以上
日本人祖先が生活する遥か昔から火山活動を続ける阿蘇山。
阿蘇山が大噴火を起こしたら、被害は日本全土、想像を絶するものになるというのが専門家の意見です。
阿蘇山からどんなに遠く離れたところで生活していようとも、常に噴火へ備えた心構えと準備が大切ですね。