世界で最も地震や火山が密集するという日本列島。
日本人として、今後起こりうる災害に関する知識は大切ですね。
ところで、「噴火がなぜ起こるのか」あなたは説明できるでしょうか?
なぜ…?
本記事では、「噴火がなぜ起こるか」について分かりやすく解説していきます!
噴火で津波や寒冷化が起こるって本当!?
噴火だけでなく、それに伴った災害も気になるところ。
2022年1月15日、トンガにおける海底火山の大規模噴火は、日本にも津波の被害が及び話題となりました。
さらに、過去の大規模噴火では、続発して寒冷化を生じた例が多数あります。
噴火が起こるメカニズムとともに、噴火に伴った津波や寒冷化についても詳しく解説していきます。
噴火がなぜ起こるのか!メカニズムを分かりやすく解説!
噴火がなぜ起こるのかという疑問に対して、噴火のメカニズムをみていきましょう。
そもそも、噴火とはなんなのでしょうか?
あなたも、噴火の様子を一度は見たことがあるのではないでしょうか?
噴火とは、赤くて高温の「マグマ」が火山から噴き出てくることなのです。
では、なぜマグマが噴出してくるのでしょうか?
- マグマができる
- マグマ溜まりができる
- マグマが一気に火道へと上昇して噴火
噴火が起こるメカニズムを図とともに詳しく解説していきます。
火山の内部と周囲
引用 東京海上日動
- 1 岩脈(ダイク):岩盤や地層の中に入り込んだマグマで、板のように固まっている。
- 2 火道:マグマが地表に出ていく際の通り道。
- 3 寄生火山:側火山とも言う。火道が枝分かれして山腹から噴火したもの。
- 4 帯水層:地下水がたまっている所。熱せられると、噴気や温泉になる。
噴火が起こるメカニズム
地球の表面を覆うプレートが、大陸の下に沈み込むときに、マントル(固体)の一部が溶けてマグマ(液体)ができる。
- 普通の岩石は1200℃くらいの温度まで熱すると、どろどろに溶ける。
- 地球は内部に多量の熱を蓄えており、深い場所ほど温度が高くなる。
- 深さ1kmごとに約30℃ずつ温度が高くなるため、単純に計算すると、地下40kmで温度が1200℃になる。
マグマは、地表から5~20kmの場所まで上昇して留まり、これを「マグマ溜まり」という。
マグマの特徴
- 周辺の岩石より比重が軽い
- 高温な液体
マグマが地上に上昇するのは、以上のような特徴があるためである。
- マグマには、水蒸気をはじめとするさまざまなガスが溶け込んでいる。
- 上昇によって圧力が減るとマグマの体積が徐々に増えていき、地表に出ようとする力が働く。
- マグマが地表に出ようと上昇することで、さらに圧力が下がり、この現象が加速度的に進行。
- マグマが一気に火道を上昇し、火口を開いて噴火する。
噴火は、プレートの移動に伴うマグマの生成とその上昇によって、火山からマグマが噴出することで起こるのです。
なぜ、マグマはあんなに激しく噴き出すの?
激しい噴火のポイントは、マグマに溶け込んだ水!
マグマに溶けていた水が水蒸気に変化するとき、体積は約1700倍に増加。
この大きな体積変化が、膨大な噴火のエネルギーを生み出すのです。
日本の火山では近年、阿蘇山噴火のニュースがよく聞かれます。
ここからさらに大きな噴火となるのか?
気になる方は以下の記事も参考になさってください。
噴火でなぜ津波が起こるの?実際の事例と原因2つを解説
噴火がなぜ起こるかについて分かったところで、噴火に伴う災害についても考えていきましょう!
噴火に伴って起こる災害の一つが津波。
噴火による津波が起こったトンガの大規模噴火を例に挙げながら、詳しく解説していきます。
【トンガの大規模噴火】日本にも津波の被害
2022年1月15日、トンガにおける海底火山の大規模噴火は、日本にも津波の被害が及び話題となりましたね。
トンガの大規模噴火
2022年1月15日、南太平洋の島国トンガのフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山で大規模噴火が起こった。
世界で見ると、数十年に1回、あるいは100年に数回規模の噴火といわれる。
トンガ沖の大規模噴火によって、8000km離れた日本でも津波や潮位の変化によって被害が出た。
- 鹿児島県奄美市で1.2メートル
- 岩手県久慈市で1.1メートル
かなり離れた場所での噴火が、日本にも津波を引き起こしたとは驚きですね…!
なぜ噴火で津波が起こるの?
トンガの大規模噴火を例にすると、噴火による津波の原因は大きく2つ挙げられます。
- 大気の波動による気圧の変化
- 噴火に伴うカルデラの陥没および海底地滑り
火山によって起こった津波の原因2つについて、より詳しく解説していきますよ。
参考 トンガ 大規模噴火と津波 何が起きたのかに迫る(NHK)
【原因1】大気の波動による気圧の変化
トンガでの大規模な噴火の後、太平洋の島々や沿岸部では津波が観測されました。
日本では1m以上の波が観測された一方で、トンガ周辺の島々では10㎝から30㎝の津波だったとのこと。
なぜ、発生源から遠い場所で津波が高くなっているのでしょうか?
トンガから遠い場所で津波が高くなった原因について、注目は「気圧の変化」!
トンガで起きた噴火は、規模も大きく爆発的だったため、急激な空気の膨張などで周辺の気圧が変化し、それが「大気の波動」として広がりました。
発生した大気の波が、発生源より遠くなるほど成長して大きくなっていったということですね。
大気の波動による気圧の変化は、潮位の上昇にも影響を与えたと考えられています。
「プラウドマン共鳴」について詳しく知りたい方は、トンガ 大規模噴火と津波 何が起きたのかに迫る(NHK)を参考にして下さい。
【原因2】噴火に伴うカルデラの陥没および海底地滑り
火砕流やカルデラ陥没など、噴火が直接的に引き起こした津波も指摘されています。
火山の近くで、1メートル前後の津波が観測されていたのです。
津波のメカニズムに詳しい東北大学災害科学国際研究所、今村文彦教授の研究グループが検証しているが、未だ謎のまま。
火山によって津波が引き起こる原因は、様々な事象が組み合わさっていることが考えられます。
火山によって津波が起こるメカニズムは、未だ解明されていないからこそ、日頃から注意が必要ですね。
噴火でなぜ気温が下がるの?主な原因2つと仕組みを解説
噴火に伴って、気温が下がる現象がみられることもあります。
過去には、「天明の大飢饉(ききん)」を引き起こした大規模噴火も…!
大規模な噴火は、気温が下がることによる食糧不足を引き起こすこともあるのです。
えー⁉なぜ?
噴火によって気温が下がる原因は主に2つ!
- 火山灰による日射量の減少
- 火山ガス中による太陽放射の散乱・吸収
それぞれの原因について、「なぜ噴火によって気温が下がるのか」を図とともに解説していきます。
【原因1】火山灰による日射量の減少
爆発的な火山噴火は、大量の火山灰や火山ガスを大気中にもたらします。
粒の細かい火山灰は、成層圏をただよって、一時的に日射量を減少させます。やがて、その大半は地表に舞い降りていきます。
噴火による火山灰は、日射量を減少させ、一時的な気温の低下を引き起こすのです。
【原因2】火山ガス中による太陽放射の散乱・吸収
噴火で気温が下がるもう一つの原因が、火山ガスに含まれる「二酸化硫黄」。
火山ガス中の二酸化硫黄は、数年程度成層圏に滞留し、太陽放射を散乱・吸収して地表温度を低下させる要因となります。
なぜ、二酸化硫黄が気温低下をもたらすのでしょうか?
二酸化硫黄は水と反応して「硫酸塩エアロゾル」となります。
硫酸エアロゾルは、火山上空から移動して、さらに広がっていくことに…!
広範囲に広がった硫酸エアロゾルは、太陽光を吸収・反射し、気温が下がるのです。
まとめ
- 噴火は、地下奥深くで発生したマグマが地表に噴出する現象のこと
- 噴火は、プレートの移動に伴うマグマの生成とその上昇によって、火山からマグマが噴出することで起こる
- 噴火による津波の原因は「大気の波動による気圧の変化」「噴火に伴うカルデラの陥没や海底地滑り」の2つが挙げられる
- 噴火による津波は、未だ解明されていないことも多く、複数の要因が考えられる
- 噴火に伴う寒冷化の主な原因は「火山灰による日射量の減少」「火山ガス中による太陽放射の散乱・吸収」の2つ
噴火を含めた災害について、その予測不可能な点についても知ることで、より意識向上の必要性を感じますね。
噴火はもちろん、そこから発生する災害にも注意していかなければなりません。
災害の多い日本だからこそ、日々関心をもって生活していきましょう!