前年の感謝を捧げて新しい年が良い年になるよう寺や神社に行き、願掛けを行う初詣。
三が日の寺や神社は、1年のうち1番と言っていいほど賑わっていますよね。
ところでそんな初詣、あなたは寺に行きますか?それとも神社に行きますか?
初詣にお寺へ行くのはおかしいのでは!?
うちは仏教だから神社に行くのはおかしいのかな。
初詣は神社に行くというイメージが強いですが、初詣で寺に行くことはおかしくありません。
考えてみれば寺と神社の違いについてあまり知らないな。
今回、意外と知らない寺と神社の違いについてや初詣は寺と神社のどちらに行くべきなのかについて徹底調査!
そもそも喪中や忌中の時、初詣に行くのはおかしいのかな。
など、初詣に関わる疑問も解決していきます!
初詣に寺はおかしい?初詣のルーツと合わせて紹介!
結論から言うと、初詣で寺に行くことは、おかしくありません!
なぜ、初詣でお寺に行くとおかしいというイメージがついたのでしょうか。
それは、初詣のルーツに関係がありました!
詳しくみていきましょう。
【ルーツ】初詣は神社での年籠りから始まった!
初詣は、平安時代から伝わる「年籠り」という風習がルーツだと言われています。
「年籠り」とは、村や家の長が、大晦日の夕方から元日の朝にかけて、氏神様のいる神社(氏神の社)に籠ること。
そして、旧年1年の感謝や新しい1年を無事に過ごせること、また豊作や安全を夜通し祈る、というものです。
この「年籠り」が時代と共に変化し、大晦日にお参りする「除夜詣」と、元旦にお参りする「元日詣」に分かれたのではないかと考えられています!
明治時代以前、日本には、寺と神社の区別がほとんどありませんでした。
年籠りでの「神社に籠る」というイメージだけが残ったことで、初詣に寺に行くのはおかしいのではないかと思ってしまうんですね!
そのため、初詣は、寺に行っても神社に行っても問題ないのです!
【歴史】恵方詣りから初詣への移り変わり
江戸時代になると、元日詣は「恵方詣り」とも呼ばれるようになり、人々は自宅から見てその年の恵方にある寺や神社に参り、幸運を祈りました。
「恵方」とは「吉方」とも言い、その年の縁起がいい方角のことを指します。
節分の時によく聞かれる言葉ですね!
恵方というのは、十二支(子、丑、寅、卯…)と、十干(甲(きのえ)、乙(きのと)、丙(ひのえ)、丁(ひのと)…)を組み合わせたもののこと。
組み合わせ方は、全部で60通りもあるのです!
大正時代に入ると元日のお参りだけが残り、また交通網や商業の発達などにより、恵方にこだわらず、好みのお寺や神社へお参りに行くようになりました。
それにより、「初詣」と呼ばれるようになったんです!
【定義】寺と神社の違いとは?
寺 | 仏像や墓があり、お坊さんがいるところ |
神社 | 鳥居があり、日本の神様がいるところ |
寺と神社の違いを簡単にいうと、どちらも宗教施設ですが、寺は仏教、神社は神道ということです。
上で少しお伝えしたように、この寺と神社の明確な区別、近代までは存在しなかったのです。
日本では奈良時代「神仏習合」という考え方がありました。
元々日本に根付いていた神道と、海外から伝わってきた仏教が、衝突することなく、共に発展していくことを示しています。
そのため、神社の中に寺が設けられた場所があったことも。
ですが、この考え方、明治時代に大きく変わります。
明治時代初期に「神仏分離」という神道を国の宗教とするために、仏教とはっきり区別をするという考えが出てきました。
こうして寺と神社が区別されるようになりましたが、それ以前の長い歴史があるため、似た要素がとても多いのです!
ただし、いくら似た要素が多いと言っても、違う点がいくつもあります。
その一つがお参りの仕方です。
初詣で寺に行ったとき、知らずに神社でのやり方をしてしまうとおかしいのです。
そうならないためにも、次の章では寺と神社での参り方を詳しく紹介していきます!
初詣の寺での参り方とは⁉︎神社とは祈り方が違う!
この章では、初詣における「寺での参り方」と「神社での参り方」についてそれぞれ紹介します!
初詣における寺での参り方
山門で静かに手を合わせ、一礼し、参道を歩きます。
水は、穢れを清めると言われているため、手水舎は邪気を払うという意味があるのです。
お参りの前に手水舎で手と口を清めることをお忘れなく。
【やり方】
- 右手で柄杓を持ち、最初に左手に水をかけて清めます。
- 柄杓を持ち換えて右手を清めます。
- 再度右手に柄杓を持ちかえて、左の手のひらに水を溜め、口に含みます。
- 音を立てずに口をゆすいだら、口元を手で隠し、静かに吐き出します。
- 左手に少し水をかけ、柄杓を立てて残った水で柄を流し、元の場所に置きます。
本堂に向かう途中、線香を供える常香炉がある場合は、線香の煙を浴びて心身を清めるとより良いです。
【やり方】
さあ、いよいよ参拝です。
- 本堂で、お賽銭を入れて一礼をします。
- 鈴があれば振って鳴らします。
- 胸の前で両手を合わせて合掌をし、お祈りします。
感謝の気持ちを込めて丁寧に一礼し、その場を後にしましょう。
初詣における神社での参り方
寺と同じく、まず入り口である鳥居の前で一礼し、参道を歩いて拝殿へと向かいます。
この時、寺と違うポイントとして、参道の歩く位置が大切になります。
やり方は、上記の寺と同様です!
【参拝のやり方】
- 拝殿の前に立ったら、お賽銭を入れて鈴を鳴らし、神様を呼びます。
- その後「二拝二拍手一拝」を行います。
- 深いお辞儀を2回したら2回拍手をして、最後にもう一度お辞儀をします。
- お願い事がある時は、その後に再び手を合わせてゆっくりと祈ります。
丁寧に一礼して、その場を後にしましょう。
寺と神社、初詣での参り方は主に本堂(神社は拝殿)での祈り方が違うのです!
初詣の時どちらに行ってもおかしくはないですが、参り方に気をつけて、しっかり願掛けをするようにしましょう!
初詣で寺へ行くのは喪中でもOK?注意点と共に解説!
新年を迎えた時に喪中だと、初詣に行くのはダメなのでは?
喪中だからと初詣を控える人は、少なくありません。
結論からいうと、喪中であっても忌明けをしているのであれば、初詣に行っても問題ありません。
この章では、初詣における喪中に関する疑問を細かく解決していきます!
喪中の定義と過ごし方
喪中とは、故人の死に哀悼の意を表し、静かに過ごすための期間のことです。
喪中の期間を贅沢や祝いごとなどは避けて穏やかに過ごすことで、遺族は故人の死を少しずつ受け入れ、哀しい心を癒していくのです。
喪中の期間が定められたのは明治時代で、当時は喪服を着たまま生活を送り、行動にも気を配り、慎ましく生活を送るのがマナーとされていました。
現代ではライフスタイルの変化で考え方も変わり、「忌明けが済んだらいつも通りの生活をする」と考える人が多くなっています。
昔ながらの喪中の過ごし方は少なくなってきましたが、それでも喪中という期間を大切にして穏やかに過ごそうとする人もいるのが現在の喪中です。
地域によっては「昔ながらの喪中の過ごし方」を大切にしているところも多いため、自主的旅行やお出掛けなどを制限していることもあるようです。
忌中と喪中の違いは期間と過ごし方
忌中と喪中、どちらも不幸があってから故人を偲んで過ごす期間のことをいいますが、大きな違いは、期間と過ごし方です。
期間 | 過ごし方 (NG行動) | |
---|---|---|
忌中 | 故人が亡くなった日を1日目として、49日目まで。 故人の魂が極楽浄土へ行けるよう、遺族が供養をする期間。 | ・神社へのお参り ・結婚式 ・新年のお祝い |
喪中 | 忌中期間を含む1年間のこと。 | ・結婚式 ・新年のお祝い |
49日を迎えるまでは、故人の魂も完全に現世を離れておらず、その遺族も「死」という穢れに近い状態であると考えられています。
したがって、49日という期間を設けて「死の穢れ」を外界に広めないよう自宅にこもり、酒肉を口にしないで過ごすのが忌中です。
忌中は喪中と比べると少し制限が多く、行動範囲も狭まるので、忌中と喪中はわけて考えると良いかもしれませんね。
喪中で初詣を控えるべき時を宗教別に紹介
先ほど、忌明けをしていれば、喪中でも初詣に行くのは問題ないとお伝えしました。
では、どういった場合に初詣を控えるべきなのか、宗教別に見ていきましょう!
- 神道
- 仏教
- その他
【神道】50日を迎えるまで
神道では、故人が亡くなった日を1日目として、50日目を迎えるまでは初詣を控えなければなりません。
故人が亡くなって50日目になると、故人の魂は「五十日祭」と呼ばれる儀式を受け、先祖代々の神として祀られます。
つまり、五十日祭のあと故人は神になるので、「死の穢れ」がなくなり初詣ができるようになるのです。
神道では、「穢れ」は「気枯れ」とも表されることがあります。
「死」そのものが穢れている、というよりは死によって遺された人の気が滅入ってしまうという状態を「穢れ」としている説があります。
ただし、神社は地域の風習が強く根付いている場合が多いため、初詣を控えるべき期間が地域によって異なることも。
まずは、信仰している神社の神主に相談してみると良いでしょう。
【仏教】49日が明けるまで
仏教の場合、49日を迎えて忌明けするまでは、初詣を控えなければなりません。
仏教では、「死」は「生の苦しみから解放されて、別の世界へ生まれ変わるための通過点」という認識とされています。
49日を迎えたら、故人の魂は極楽浄土へ行き、遺族も弔いの期間を終えて日常生活へと戻れます。
故人の供養は忌明けのあとも続きますが、故人の魂は極楽浄土にあるため、遺族に「死の穢れ」はついていません。
穢れがなければ、神社の聖域へ行き初詣ができるのです。
【その他の宗教】
神道や仏教以外の宗教の場合、忌中や喪中という考え方自体がないことも多く、初詣を控える期間を各人で判断していることもあります。
例えば、キリスト教のカトリックでは、故人の死後30日目に追悼「ミサ」が行われます。
それに合わせて忌明けをすれば、初詣で寺や神社を訪れることができるようになる、といった感じです。
キリスト教では「人の死は祝福されるべきことである」「遺された人たちも同じように死後に天国へ行くため、後々再会できる」という考えがあります。
そのため、神道や仏教のようにはっきりと忌んで禁ずることはありません。
しかし、日本では古くから「忌中」や「喪中」という考えが定着しています。
寺や神社への初詣は「穢れを持ち込まない」ということがとても大切なのです。
神道や仏教以外の宗教を信仰していた場合でも、寺や神社という聖域に敬意を表し、最低でも1ヶ月は初詣を控えるようにすると良いですね!
まとめ
- 初詣は寺でも神社でも問題なし!
- 参拝方法は、寺では静かに合掌、神社では二拝二拍手一拝をすべし。
- 喪中の初詣は、忌明けしていれば行っても問題なし!
- 宗教や住んでいる地域によって初詣を控えるべき期間が異なるので、心配な場合は、信仰している神社の神主やお坊さんなどに尋ねてみるとよい。
今回は、初詣に関することを、寺と神社の違いという観点から徹底的に解説していきました。
初詣は、寺でも神社でも問題はないですが、参拝の仕方だけ注意が必要です!
新年1発目に行くところなので、気合を入れて、良い1年になるようしっかりお祈りしましょう!